必要があって十年ぶりくらいにLaTeXについて調べ直し、縦書きの冊子を作った。ていうかTeXって縦書きできたんだね!
忘れる前にそのまとめ。環境はWindows10。
TeXLiveのインストール
TeXLiveをインストール。以前主流だったTeXインストーラ 3よりも簡単にできるようだ。
Acquiring TeX Live as an ISO imageからISOファイルを落としてインストールする。僕のLIVAZ2では数時間かかった。
TeXStudioのインストール
総合環境の
TeXStudioをインストールする。xyzzyでやる方法とかもあるが(
kyotex-mode - xyzzy lisp - 米澤進吾 ホームページ)、一時的にLaTeXを使えればいいのならこっちのほうが手っ取り早い。
設定
「オプション」→「TeXstudioの設定」→「コマンド」から、LaTeXのコマンドを変更。latex.exeをuplatex.exeにする。
「オプション」→「TeXstudioの設定」→「ビルド」から、「ビルド&表示」を「DVI->PDFチェーン」に、「既定のコンパイラ」を「LaTeX」にする。これで、F5を押せばupLaTeXでDVIファイルをビルド→さらにそれをPDFにして表示、という一連の動作をするようになる。
TeXとLaTeXの関係性がいまいちわかってなかったのだが、TeXは言語あるいは処理系を、LaTeXはマクロ体系を指しているらしい。そして、TeX以外の処理系やLaTeX以外のマクロ体系が存在する。処理系には、和文組版(縦書き含む)が可能なpTeX、さらにそれをUNICODE化したupTeX等。マクロ体系にはそれに対応したpLaTeX、upLaTeX等がある。これらはTeXLiveで既にインストールされていて、設定するだけで使うことができる。
参考:
TeXstudioのインストールと初期設定 ― tm23forest.com
TeX と LaTeX の違い ― ラング・ラグ
文書の構成
大まかには
- ドキュメントクラスを指定
- 設定をプリアンプルに
- \begin{document}\end{document}の間に本文を書く
という構成になっている。
ドキュメントクラスを指定
\documentclass[uplatex,
tate,twoside,openany, % 縦書き、見開きレイアウト
twocolumn, % 二段組
paper=b5, % 用紙サイズ (a0〜a10 / b0〜b10 / {横mm,縦mm})
fontsize=14Q,jafontsize=14Q, % フォントサイズ
line_length=30zw, % 一行の文字数 (zw=全角1文字の幅)
number_of_lines=24, % 行数
gutter=20.8mm, % ノド側の余白
column_gap=10mm, % 段と段の空白
head_space=20mm, % 天の余白 (天/地どちらか一方を指定)
%foot_space=15mm, % 地の余白
baselineskip=1.7zw, % 行送り
headfoot_verticalposition=1.5zw, % ノンブルと本文の間の空白
book, % 書籍のためのスタイル
hanging_punctuation] % ぶら下げ
{jlreq}
LaTeXでは作る文書の種類を最初に指定するようだ。文書の種類とは「本、論文、報告書」といった規模、あるいは縦書きか否かといったもの。ここでは最近熱いらしいjlreqを使う。
設定をプリアンプルに
% ノンブルを小口/下に (小口/上なら以下2行を消す)
\ModifyPageStyle{plain}{nombre_position=bottom-center}
\ModifyPageStyle{plain}{even_running_head=ヘッダーをここに}
\ModifyPageStyle{plain}{running_head_position=top-left}
\ModifyPageStyle{plain}{running_head_font=\footnotesize }
\pagestyle{plain}
\usepackage[utf8]{inputenc}
\usepackage[T1]{fontenc}
\usepackage{amsmath}
\usepackage{amsfonts}
\usepackage{amssymb}
\usepackage[dvipdfmx]{graphicx}
% 倍角ダッシュをつなげる
\def\――{―\kern-.5zw―\kern-.5zw―}
%写真のキャプションに「図」を入れない
\renewcommand{\figurename}{}
\jlreqsetup{
caption_label_format={図\tatechuyoko{#1}},
}
\ModifyHeading{chapter}{pagebreak=nariyuki}
% 先頭ページ番号
\setcounter{page}{0}
ついで設定を書く。本文の前にあるこの部分をプリアンプルと呼ぶようだ。
本文を書く
\begin{document}
\end{document}
の間に本文を書く。
サンプル
いらすとやからcooking_frypan_teflon.pngを拾い、TeXファイルと同じ場所に置いておきましょう。
\documentclass[uplatex,
tate,twoside,openany, % 縦書き、見開きレイアウト
twocolumn, % 二段組
paper=b5, % 用紙サイズ (a0〜a10 / b0〜b10 / {横mm,縦mm})
fontsize=14Q,jafontsize=14Q, % フォントサイズ
line_length=30zw, % 一行の文字数 (zw=全角1文字の幅)
number_of_lines=24, % 行数
gutter=20.8mm, % ノド側の余白
column_gap=10mm, % 段と段の空白
head_space=20mm, % 天の余白 (天/地どちらか一方を指定)
%foot_space=15mm, % 地の余白
baselineskip=1.7zw, % 行送り
headfoot_verticalposition=1.5zw, % ノンブルと本文の間の空白
book, % 書籍のためのスタイル
hanging_punctuation] % ぶら下げ
{jlreq}
% ノンブルを小口/下に (小口/上なら以下2行を消す)
\ModifyPageStyle{plain}{nombre_position=bottom-center}
\ModifyPageStyle{plain}{even_running_head=ヘッダーをここに}
\ModifyPageStyle{plain}{running_head_position=top-left}
\ModifyPageStyle{plain}{running_head_font=\footnotesize }
\pagestyle{plain}
\usepackage[utf8]{inputenc}
\usepackage[T1]{fontenc}
\usepackage{amsmath}
\usepackage{amsfonts}
\usepackage{amssymb}
\usepackage[dvipdfmx]{graphicx}
% 倍角ダッシュをつなげる
\def\――{―\kern-.5zw―\kern-.5zw―}
%写真のキャプションに「図」を入れない
\renewcommand{\figurename}{}
\jlreqsetup{
caption_label_format={図\tatechuyoko{#1}},
}
\ModifyHeading{chapter}{pagebreak=nariyuki}
% 先頭ページ番号
\setcounter{page}{2}
\begin{document}
\chapter*{第一章}
\section*{第一節}
数字は2020年のように横を向いてしまうので、二〇二〇年とするか、
あるいは\tatechuyoko{20}年のように縦中横を使うといい。
図\tatechuyoko{\ref{zu1}}はいらすとやから拾ってきた。
\
\begin{quote}
滲み出す混濁の紋章
不遜なる狂気の器
湧き上がり・否定し・痺れ・瞬き
眠りを妨げる
爬行する鉄の王女
絶えず自壊する泥の人形
結合せよ 反発せよ
地に満ち 己の無力を知れ
破道の九十 「黒棺」
\end{quote}
\begin{figure}[btp]
\centering
\includegraphics[angle=90,keepaspectratio,scale=0.2]{cooking_frypan_teflon.png}
\caption{料理をしてるひと}
\label{zu1}
\end{figure}
\end{document}
これを貼り付け、F5を押すか赤く囲った部分をクリックすると、PDFが作成される。
参考