2013年10月29日火曜日

フォルダ履歴ジャンプメニュー

PPcで表示したことがあるディレクトリを表示し、移動するメニュー。あふでHを押せば出るやつと似たようなものです。


M_history = {
A  = %hp0
B  = %hp1
C  = %hp2
D  = %hp3
E  = %hp4
F  = %hp5
G  = %hp6
H  = %hp7
I  = %hp8
J  = %hp9
}
KC_main = {
H  ,%j%M_history,A
}

ちなみにデフォルトのキー設定で0を押すと、履歴とブックマークのお気に入りメニュー(M_pjump)が出ます。今回のメニューはその履歴部分のみを取り出した、ということですね。参考までに

2013年10月25日金曜日

マスクメニューに「マークファイルで常時マスク」を追加

マスクメニューに「マークファイルで常時マスク」を付け加えてみる。意図としては前回(つかさのほえほえ日記: マークファイルでマスク)と同じで、関連するメモのみを一時的に表示することができたら便利じゃないかな、ということ。



例えばこんな感じで、PPv関連のメモだけ抜き出して表示してみるとか。

ただ、数時間や数日くらいのスパンで、メモの絞り込みの状態を維持しておきたい場合もありそうなので、一時マスクだけではなく常時マスクでもできるようにした。

M_Mask = { ** comment **
%Tでマスク(&1) = *maskentry *.%T
&EXEでマスク = *maskentry *.exe
テキストファイルマスク(&T) = *maskentry *.txt,*.howm,*.ini
画像マスク(&I) = *maskentry *.jpg,*.jpeg,*.png,*.gif,*.bmp
-- = 
ディレクトリマスク(&D) = *maskentry attribute:d
マークファイルで一時マスク(&M) = *maskentry %#;C %: %K"HOME"
マークファイルで常時マスク(&S) = *setmaskentry %#;C %: %K"F5"
-- = 
マスク解除(&U) = *maskentry %: *setmaskentry
}
KC_main = { ; PPcメイン窓
'I' ,%M_Mask,1
}

*maskentryは一時エントリマスクで、ディレクトリを抜けたりすると無効になる。*setmaskentryによる常時エントリマスクは、ディレクトリを抜けようと窓を閉じようと持続する。

また、今常時エントリマスクをしてるのかどうかわからなくなったりしないように、タイトルバーにマスク状態が表示されるようにする。

XC_dpmk = 1 ; エントリマスクを表示 0:しない 1:する


このようにマスク状態にあるのかないのかが一目でわかるようになる。

2013年10月24日木曜日

PPvからエディタを開く

カテゴリーフォルダ内にあるメモファイルを、PPvで順番にざっと眺めているとき、エディタを開きたいと思うことがある。大きく分けて、

  • 閲覧しているファイルをエディタで開く
  • 閲覧しているファイルをエディタ開いてPPvを閉じる
  • 閲覧しているファイルと同じフォルダにhowmファイルを作成する
  • howmフォルダにhowmファイルを作成する

の4パターンがある。


閲覧しているファイルをエディタで開くとは、気づいた誤字の訂正や付け加え等のちょっとした修正をしたい場合である。このとき、修正後にはすぐまたメモを順番に閲覧する作業に戻るのだから、PPvは開いたままの状態がいい。

閲覧しているファイルをエディタで開いてPPvを閉じるとは、メモに大きな修正を加えたい場合である。このとき、メモの閲覧作業は一旦中断することになるから、PPvは閉じていたほうがいい。

閲覧しているファイルと同じフォルダにhowmファイルを作成するとは、メモを閲覧している途中でそのカテゴリーに関する何か新しい思いつきをして、それを書き留めたい場合である。

howmフォルダにhowmファイルを作成するとは、メモを閲覧している途中でそのカテゴリーと関係ないことについて思いつき、それを書き留めて一時フォルダに保存したい場合である。

やりかた


以下を取り込む。
KV_main = { ; PPvメイン窓
E ,%"Text edit"%Orib,editor %FDC -g %L
\E ,%K"@Q" %: %"Text edit"%Ob,editor %FDC -g %L
N ,%Ob D:\bin\xyzzy\xyzzy.exe -e (howm-create2dir) %1
\N ,%Ob D:\bin\xyzzy\xyzzy.exe -e (howm-create2dir) D:\howm
}

Eで閲覧しているファイルをエディタで開く。コマンドラインオプションで行番号を送り、そこにスクロールさせている。これはeditorにxyzzyを設定している時の例なので、違うエディタの場合は -g %L の箇所を変えてください。

Shift+Eで閲覧しているファイルをエディタで開いてPPvを閉じる

Nで閲覧しているファイルと同じフォルダにhowmファイルを作成する

Shift+Nでhowmフォルダにhowmファイルを作成する。D:\howmの箇所は、howmフォルダのパスに読み替えてください。

カスタマイズ用メニュー

前回でカスタマイザーが設定ファイルを取り込む仕組みも分かったことなので、カスタマイザー用のメニューを作ってみる。


Cust.CFG
M_cust    = { ** comment **
カスタマイザ(&C) = %K"@CUSTOMIZE"
編集して取込(&E) = %Ob *PPCUST /edit
-- = 
取り込み(&1) = %Q"%FCを取り込みます"%:%Ob *PPCUST CS "%FCD"
追加(&2) = %Q"追加取込します"%:*customize @%FCD
-- = 
PPX.CFGを取り込み(&3) = %Q"PPX.CFGを取り込みます"%:%Ob *PPCUST CS "%0\PPX.CFG"
PPX.CFGに書き出し(&4) = %Q"PPX.CFGに書き出します"%:%Ob *PPCUST CD "%0\PPX.CFG"
指定書き出し(&5) = %"指定ファイルに書き出します"%Ob *PPCUST CD %{%1\PPX-%*nowdatetime(y-N-D)%|.CFG%}
-- = 
初期化(&I) =  %Q"初期化します"%:%Ob *PPCUST CINIT
-- = 
アップデート(&U) = %Ob *checkupdate p
バージョン情報(&V) = %K"@ABOUT"
}
KC_main = {    ; PPcメイン窓
F12 ,%M_cust,C
}

F12に登録してます。

取り込み追加はカーソルファイルが対象です。あらかじめ、メニューバーや個々のメニューについては設定ファイルを作っておき、それらにカーソルをあわせ取り込む!というようにすれば便利じゃないかなと思ってます。

今までは仕組みがよくわかってなかったので、メニューバーから選んでカスタマイザーを起動し、PPX.CFGを「テキストの取込」で取り込み。他の追加設定は「編集して取込」で僕が過去に書いたブログの記事からコピペして取り込み。たいていメニュー関係が変になってるのでカスタマイザーのメニュータブから不要な区切り線その他を一々消す…というようにしてました。効率悪すぎでしたねHAHAHA

参考


#PPx カスタマイズに使うメニュー - nuru

追記:2015-07-18


「追加(&2)」で、カーソルファイルではなく、マークファイルを追加取込するように修正。修正前のは以下。

追加(&2) = %Q"%FCを追加取込します"%:%Ob *PPCUST CA "%FCD"

2013年10月23日水曜日

カスタマイザーによる設定の取込

はじめに


PPxの設定を取り込む方法には

  • テキストの取込
  • 追加取込
  • 更新取込
  • 編集して取込



の4つがある。

このうち、「更新取込」は「PPx のバージョンアップ時の自動アップデート処理のように、既にある内容を上書きしないようにしながら新しい項目を追加する」ためのもので、あまり使うことは無いと思う。

「編集して取込」とは



このような簡易編集できるダイアログが出て、編集しながら取り込めるもの。実際にやっている処理は「追加取込」です。

というわけで、PPxの設定の取り込みについては

  • テキストの取込
  • 追加取込

の二つの違いを知っていればとりあえずおkということになる。

「テキストの取込」と「追加取込」の違い


  • テキストの取込 → 既存の設定に上書きする形で取り込む
  • 追加取込 → 既存の設定は消さずそれに追加する形で取り込む

という違いがある。

例えば

ClipPath1.CFG 

M_ClipPath = { ** comment **
CopyFileName = *cliptext %R
CopyDirName = *cliptext %1
}

ClipPath2.CFG

M_ClipPath = { ** comment **
CopyFileName(拡張子無し) = *cliptext %Y
-- = 
CopyFilePath = *cliptext %FCD
}

と二つの設定ファイルがあるとする。ClipPath1.CFG→ClipPath2.CFGの順に、「テキストの取込」をすると




このようにメニューが上書きされる形で取り込まれる。

「追加取込」の場合、ClipPath1.CFG→ClipPath2.CFGの順に取り込みをすると





このように既存のメニューに追加される形で取り込まれる。

使い分け


「テキストの取込」は、設定が追加されていったら都合が悪いものに用いる。ポップアップメニューやメニューバーあたりの、カスタマイザーのメニュータブで設定できるものですね。この場合、何も考えずに「追加取込」を繰り返していると



無駄にメニューバーの項目が増えたり



区切り線が増えたりしてしまう。

追加取り込みは、反対に上書きされたら都合の悪いものに用いる。例えばキーバインドとかがそうですね。新しいキーバインドを追加したくて、

現在窓と反対窓を同パスに.cfg

KC_main = { ; PPcメイン窓
O ,%j%2
\O = @'='
}

このようなファイルを「テキストの取込」で取り込んだとしたら、それまでのPPcキーバインドカスタマイズが上書きされ、吹っ飛ぶことになる。全体の整合性を気にせず新しい設定をどんどん追加したい場合は、「追加取込」で取り込むほうがよさそうだ。

「テキストの取込」前


「テキストの取込」後


というわけで、新しい設定をPPX.CFG本体とは別に書いたとしたら、基本的には「追加取込」か「編集して取込」で取り込む。ポップアップメニューやメニューバー関連だけは「テキストの取込」を使って取り込む。というようにすればいいと思います。

追記 2013/10/25


作者さんからコメントいただきました

2013年10月22日火曜日

指定PPvで書庫内ファイルを閲覧

あいさつ


僕はPPcとPPvをIDで一対一対応させて用いている。(参考:PPcとPPvのIDを一対一対応させる - つかさのほえほえ日記



ただ、この記事のやり方だと書庫内ファイルの閲覧がうまくいかない。仕方ないので、これまで書庫内ファイルを閲覧したい場合はNキーを押してPPv[A]で閲覧していた。

書庫内のファイルもID指定PPvで閲覧出来るよう、少し変更する。

拡張子別判別実行


E_cr = { ; [Enter]用判別
TXT ,*launch %0\PPVW.EXE -bootid:%*regexp(%n,"/.(.)/$1/") %FCD
HOWM ,*launch %0\PPVW.EXE -bootid:%*regexp(%n,"/.(.)/$1/") %FCD
INI ,*launch %0\PPVW.EXE -bootid:%*regexp(%n,"/.(.)/$1/") %FCD
CFG ,*launch %0\PPVW.EXE -bootid:%*regexp(%n,"/.(.)/$1/") %FCD
JS ,*launch %0\PPVW.EXE -bootid:%*regexp(%n,"/.(.)/$1/") %FCD
VBS ,*launch %0\PPVW.EXE -bootid:%*regexp(%n,"/.(.)/$1/") %FCD
PY ,*launch %0\PPVW.EXE -bootid:%*regexp(%n,"/.(.)/$1/") %FCD
JPEG ,*launch %0\PPVW.EXE -bootid:%*regexp(%n,"/.(.)/$1/") %FCD
BMP ,*launch %0\PPVW.EXE -bootid:%*regexp(%n,"/.(.)/$1/") %FCD
PNG ,*launch %0\PPVW.EXE -bootid:%*regexp(%n,"/.(.)/$1/") %FCD
GIF ,*launch %0\PPVW.EXE -bootid:%*regexp(%n,"/.(.)/$1/") %FCD
}

*launchを冒頭に加えただけですね。

これで、ここで登録した拡張子のファイル上でEnterを押せば、たとえ書庫内だろうと、対応したIDのPPvで表示することができるようになりました。

PPvのキーバインド


ついで、PPvのキーバインドをカスタマイズ。IDが同じPPcと連動させます。

KV_main = { ; PPvメイン窓
UP ,%KC%*regexp(%n,"/.(.)/$1/") "@UP @N"
DOWN ,%KC%*regexp(%n,"/.(.)/$1/") "@DOWN @N"
LEFT ,*execute C%*regexp(%n,"/.(.)/$1/"),*cursor 6, -1 %: %KC%*regexp(%n,"/.(.)/$1/")"@N"
RIGHT ,*execute C%*regexp(%n,"/.(.)/$1/"),*cursor 6, 1 %: %KC%*regexp(%n,"/.(.)/$1/")"@N"
}

これで、PPvでカーソルを動かせば対応したIDのPPcのカーソルも動き、連動ビューを実現できます。

だが、実はこれだとPPvを複数起動&書庫内ファイルを閲覧しているときは挙動が少し変になる。
それを解消しようとすると次のようになります。

KV_main = { ; PPvメイン窓
UP ,*execute C%*regexp(%n,"/.(.)/$1/"),*cursor 2, -1 %: *launch %0\PPVW.EXE -r -bootid:%*regexp(%n,"/.(.)/$1/") %*extract(C%*regexp(%n,"/.(.)/$1/")"%%FCD")
DOWN ,*execute C%*regexp(%n,"/.(.)/$1/"),*cursor 2, 1 %: *launch %0\PPVW.EXE -r -bootid:%*regexp(%n,"/.(.)/$1/") %*extract(C%*regexp(%n,"/.(.)/$1/")"%%FCD")
LEFT ,*execute C%*regexp(%n,"/.(.)/$1/"),*cursor 6, -1 %: *launch %0\PPVW.EXE -r -bootid:%*regexp(%n,"/.(.)/$1/") %*extract(C%*regexp(%n,"/.(.)/$1/")"%%FCD")
RIGHT ,*execute C%*regexp(%n,"/.(.)/$1/"),*cursor 6, 1 %: *launch %0\PPVW.EXE -r -bootid:%*regexp(%n,"/.(.)/$1/") %*extract(C%*regexp(%n,"/.(.)/$1/")"%%FCD")
}

書庫内を閲覧することの方が多くて複数のPPvを開いていることが多い、という場合だったらこちらを使うといいかも。

ただこれだと少し挙動が遅くなるので、僕は前者の設定を使ってます。

PPxの外見をだいなファイラーっぽくしてみる

あいさつ


思いついたのでやってみます。
画面を透過した状態のだいなファイラーっぽい見た目に。上がPPxで下がだいなファイラーです。


やりかた


以下の文字列をクリップボードにコピーしましょう。

XC_dset = { ; 情報行のアイコンを非表示に
* = B0000,0,0,0,-1,-1,B011111,B00000000000000000000000001,
}
X_win = { ; ステータス行を非表示に
 ;  +--------B8:1=タイトルバーを表示させない
 ;  |+-------B7:1=(PPcのみ)簡易ヘッダを表示する
 ;  ||+------B6:1=(PPcのみ)標準の情報行を表示させない
 ;  |||+-----B5:1=標準のステータス行を表示させない
 ;  ||||+----B4:1=標準のツールバーを表示する(PPc:B_cdef,PPv:B_vdef)
 ;  |||||+---B3:1=(PPcのみ)スクロールバーの位置を下端<->右端で切替
 ;  ||||||+--B2:1=スクロールバーを表示させない
 ;  |||||||+-B1:1=タスクバー等で1つにまとめる(要PPtray)ただし不都合有り
 ;  ||||||||+B0:1=MenuBar表示
CA = B000100001
CB = B000100001
CC = B000100001
}
XC_inf1 = _GRE,_AUTO,0,0,R60 ; 情報行1行目
XC_inf2 = _GRE,_AUTO,0,5,i"Marked:" mn i"/" E1 S3 ms8 i"Bytes" S5 Df8 i" Free" s2 ; 情報行2行目
X_bg = { ; 背景画像をデスクトップと同じに
Type = 10
}
F_mes = -16,0,0,0,400,0,0,0,128,3,2,1,17,MS 明朝 ; 汎用
C_entry = _WHI,_WHI,_CYA,_RED,_CYA, _MAG,_BLU,_GRE,_DWHI, _SBLU,_DBRO,_GRE,_RED,_MAG 
;  エントリ状態(ファイルの背景色等)
; メッセージ,削除,通常,不明,更新,追加,NoFocus,枠,下線,マーク,通常(偶数行),
; 選択,区切線l, ハイライト1,ハイライト2,ハイライト3,ハイライト4
C_eInfo = _AUTO,_DRED,_AUTO,_DBLA,_DBLU,_DCYA,_DBLA,_BRO,_WHI,_WHI,_AUTO,_BLU,_AUTO, H404000,_BRO,_CYA,_GRE 
XC_celD = _AUTO,_AUTO,4,7 ; エントリ表示 文字,背景,カーソル,マーク 
X_fles = 1 ; 画面のちらつき対策を 0:しない 1:する
MC_click = { ; PPc メイン窓
LD_MENU = ;メニューバー左ダブルクリックで非表示にならないように
}

ついで、PPxフォルダーにあるPPCUSTW.EXE(PPCUST.EXE)を実行するか、メニューバーのツールから選択するかなどしてカスタマイザーを起動します。

起動したら

  • ファイルタブ - 編集して取込

をクリック



すると、クリップボードにコピーした文字列が貼り付けられた状態で、編集して取込ダイアログが出ます。そこでOKボタンをクリック



以上でだいなファイラーっぽい見た目になります。簡単ですね。

2013年10月13日日曜日

野帳で素早く考えをまとめたい

素早く考えをまとめたい


僕はもともと、あまり記録とかを残すタイプではなかった。何かを経験したり誰かの行為を見て、それで自分の行為を変えようと思ったら「ああ次からはこれこれの場合にはこれこれをしないようにしよう」と心のなかで何度かつぶやいて、他のことは忘れる、というようにしていた。重要では無いことはすぐに忘れる、そのほうが精神衛生上もいいし、むしろ覚えてたらノイズになってダメだと思っていた。これのおかげてたいていの人との記憶も出来事もほとんど覚えていない。いつだか知らないが、意識的にそのように切り替えたのだと思っている。

だが最近は意図的に思考過程を残している。ほえほえ日記もそうだし他にもつかさ名義やそれ以外で色々と形になるものを残している。自分の考えたことの記録が残っているというのは、それはそれで利点はある。先の仕方だと、なぜそのようにしたのか自体は記憶として残らないのだ。自分の試行錯誤を他のひとと共有するという意味ではこれは意味がある。

だが、この方法のせいで思考や行為の変化のスピードが落ちているように思う。これ自体は創造的な作業ではなく、自分が既に持っているものを、分解し、対象化し、相手に合わせて何度も構築し直すという作業であり、ここ数年で自分の思想自体は発展していない。

というわけで、何かについて一々記録を残すという方針を変えようと思う。考えているのは、手帳の利用。具体的には、野帳を使ったスタイルになるだろうか。今まではデータ化前提だったが少し意義は変わってくる。

MoEについて


僕がずっとやってきたのはMoEだった。これの特徴の第一の点は、カードでこれまでやられてきた考察をPC上で実現することにある。


この仕組は、一つのテーマを練り上げる、というのには都合がいい。具体的には論文だとかである。あとは、ブログのアイデアだとかプログラムに関する思いつきだとかにも有効。

これらのことについては、四六時中考えているわけにはいかない。そこで、思考したことの断片を積み重ねる仕組みが必要になる。人間は、たいてい複数の事案に取り組んでいる。また、何かに集中をして取り組んでいるとしても、それは何かの突発的な事態で遮られる。そのとき、何も準備がなければ、そのままそのときに取り組んでいたことについて忘却し、またそれに取り組むときには一から、前に考えたことをもう一度考えなおすという無駄が必要になるわけだ。だから、断片的にアイデアをためるというのは有効なのである。

MoEの弱点


MoEは万能ではないというのが、これを作った当初から問題意識としてあった。
これは、短期的に、集中的に取り組むような問題には適当ではない。時間がすぎれば無駄になるようなこと、今決めなければならないこと、などにおいては不向きである。

  • まず、メモはどれも並列化することになる。時間的に、最近考えたことのほうが重要ではあってもそれを示せない。
  • また、短期的に考えることについては大げさすぎる。一々考えたことをデータ化して、PC上で操作して、というような手間。過程を幾つかに分割して、それぞれでやるという仕方。ここでの用途としては悠長。データとして残しておいたほうがいいもの、割と長いスパンでやるべきものについてはいいが、ここではその必要はない。一々そのような過程を組み込むことが、ネックになっている。

ここでデータをためたとしても、次に用いることはできない。それはすぐに陳腐化するし、次に用いることができない。つまり、短期的に集中して考察し、答えを出して行為しなければならない課題については、このシステムは大掛かりすぎるのである。

これまでは、とりあえず何か考えるべきことがあったらMoEで処理をしていた。とりあえずデータ化をするということをしていた。だが、それで解決が全くしないということがずっと続いているので、そもそもやり方として間違っているのではないかと気づいた。

課題

 

 これまでにPCで行ってきた技法のような蓄積は持っていない。そこでそれを新たに再構築する必要がある。
この時には、その扱う問題の前提から、MoEでは必須だったが不要になることもあるだろう。また新たに作り直すものもあるだろう。
いくつか思いつくことをあげていく。

  1.連続性


野帳を使う場合。左から右へ書いていくことになる。だから、それまでのメモの全体的な見通しということができない。
必要になる情報は、今まで何に取り組んできて、今は何について考察すればいいか、ということ。
いくらアイデアを書き連ねても、それを次の考察にいかすことができなければ無駄になる。だからこの方法が必要になる。普通にやっていたなら、前に書いたことは忘れ、右に書いてあることをいくらかめくって得られる情報がすべてになる。

2.中断


考察は中断する。疲労、他の事態、考察が行き詰まることによって。それでたいていの場合はそこで立ち止まり、そのまま雲散霧消してしまう。そうすれば、後にそこでの考察がなされないなら、残るのはただのもはや役に立たないアイデアの残骸のみである。

3.他のメモに埋もれる


取り組む問題はたいてい複数。そしてそれは、自分の考えているとおりには生じない。時系列だとランダムに生じる。今考えていたのと全く関係のないことを思いついた時、それは時系列でメモに記すしか無い。アイデアを書き連ねた野帳は、順序としては、そのような複数のものが入り乱れた状態になっているはずである。

解決案


左隅に連番をつける。1st2ndというように。
また、このときタイトル、見出しは不要になるだろう。前提から、何か連続的に考察しているのだから、それについてはずっと知っているはずだろうし、それはひとつだろうから。
また、このようにすれば埋もれることもないだろう。他のメモは、後でデータ化なりをするためのもの。左隅を見て、連番を追っていけばいいだけ。
また、中断についても同様。野帳の新しいページの連番を見て、そこを追えばいいはず。また、野帳をずっと手元に持っていることでも解決するだろう。何について取り組んでいるか忘れるということもなくなるはず。



ここまで書いて


過去に無印のらくがき帳で同じことをやってたのに気づいた。

計算用紙と1st2nd法 - つかさのほえほえ日記

問題意識としては同じものがずっと前からあるんだけど、ずっと達成できておらず忘却等でまだ同じ地平にいるということですね。むむむ

2013年10月10日木曜日

カードでMoEをするとしたら

あいさつ


カードとデータの相違を考える中、カードでMoEを再現しようとしたらどうなるだろうかと考えてみた。案外できなくはなさそうなのでそこで考えたことを書いてみる。

カードボックスの用意


まず、三種のカードボックスを用意する必要がある。

  • 受け入れバッファ用カードボックス
  • カテゴリー分け用カードボックス
  • 廃棄バッファ用カードボックス

そしてこの三つを区別して配置する。




例えば椅子の右側に備え付けるとしたら、その手前に受け入れバッファ用カードボックスを。その向こうにカテゴリー分け用ボックスを、というようになるだろうか。最初の段階ではカテゴリー分けはできてないのだから、その空間だけ用意しておけばいい。そして受け入れバッファーがたまり必要ができれば適宜、カテゴリーボックスを作ってそのなかに追加していく。

廃棄バッファカードボックスは、すぐには目に触れないけれども頑張れば取り出せる位置に配置する。手の届く範囲ならどこでもよさげ。そして、ここにためていっぱいになれば別の場所に箱にでも詰めて保存、ということになるか。

カードボックスとして想定しているのは


こんなの。受け入れバッファはもっとちゃんとした作りでもいいが、カテゴリーBOXの場合は新しいのの設置や廃棄などを頻繁に行わないといけないので、高価なものは不可。


運用


カードを書いたら、とりあえず受け入れバッファに入れていく。
それが一定たまったら、それを眺め、カテゴリーごとに新しくカードボックスを適宜作成。名前がわかるようにして、その中に放り込んでいく。このカテゴリーボックスは、それぞれ独立している必要があるだろう。そこで、気軽にカテゴリーボックスを作れ、廃棄できるように予め大量に用意しておく必要がある。
そして、カテゴリーボックスにたまったカードで操作を行う。この過程で不要になったカードを見つけたら、それは廃棄バッファに移動する。

思ったこととか


場所と費用はかかるができなくはないな。
一覧性とか並べてみるだとかならデータよりもカードのほうがやりやすいからひとによっては悪くないのかもしれない。いやもちろんやったことないし僕がやることも多分無いので保証はできないんだけど

2013年10月9日水曜日

MoEに至るプロセス - PCの利用からバッファ理論へ


PCへ


  • 京大カード→PoIC

というプロセスを経て、やはりカードは無理だと思い、PCに移ることになった。そのときに考えていたのは、「PC特有の機能によって、死蔵という問題も解消されるのではないか」ということである。

例えば何か調べ物をしたい場合、Googleで適当な検索語を入れれば、自分に必要な情報が乗ってそうなリンクがずらっと並び、そこからいくつか開けばたいていの場合解決する。
はてなやwikiを読んでてよくわからない言葉があれば、その語のリンクをたどればその説明を見ることができ、自分にとって不明であることがすぐに明らかになる。
ニコニコ動画で興味のある動画に出会ったら、それにつけられているタグをクリックすれば関連する動画が羅列して表示される。

このように、ネットにおいてはデータが無数にあったとしても、それから自分にとって有用である情報をPC特有の機能でもって取得する方法が存在する。これを応用すれば、カードで試行錯誤していた「情報が増えることによるカオス化」など、容易に解決するのではないか、と思ったのだ。


カードをPCで再現する



カードでやってたことをPCで再現するなら、それはテキストファイルをため、それでできたデータベースに対して何らかの処理をする、ということになる。このときのデータがソフトに依存するようなものであった場合、あとで利用できなくなるおそれがあるからだ。
このテキストファイルに対してPC特有の機能を用いて、カードだと克服できなかった死蔵という問題を解決することになるのだが、それを実現する以前の段階として、カードで実現してたことをPCで再現することが必要になる。*1一見簡単そうなのだが、わりと難しい。

カードの「くる」を再現


カードにおいては、それを「くる」という操作を行っていた。この操作は、カードボックスにたまったカードのタイトルだけを見て関係するものを見つけ出す方法と、カードをめくっていってその本文をざっと見ることで、その内容を把握することで関係するものを見つけ出す方法の二つからなっている。
このことをPCで実現するために必要になるのは

  • タイトル一覧表示
  • 連動ビュー

の二つである。
「カードのタイトルを見る」に対応するのが、タイトル一覧表示である。一つのフォルダにメモファイルが入っているとすれば、そのタイトルが一覧表示される仕組みがあればいい。(デジタル知的生産術の急所-タイトルをどう実装するか
「カードの中身をざっと見る」に対応するのが連動ビューである。Windowsでは、通常ファイルの中身は表示されない。だが、いちいちそれをエディタで開いて、ということをして確認するのでは手間がかかりすぎる。ということで連動ビュー、つまりそのファイルにカーソルをあわせれば中身を表示してくれる機能が必要になる。

これについては、TextTree+ViewLinesだったり、howmだったり、PPx+スクリプトだったり、いくつかの方法がある。
これにより、カードで実現していた「最近のをざっとみて関係するのを抜き出す」は実現できる。次に問題になるのは、「データベース全体から関係するものを抜き出す」である。これの追求で立ち止まる。

PCの機能による関連メモの並列


  • Grepの利用
  • 関係するファイルに共通のタグを入れる
  • メモデータ本体とは別に情報管理

の三つの方法がある。*2

まずGrepだが、この方法で自分が今知りたいテーマについての情報を並列するのは難しい。そもそもテーマに関係する単語というのが存在するのかという問題がまずある。また、たとえあったとしてもそれによってアイデアメモの内から関連するものをすべて拾える保証というのがない。そして、この方法だとどうしても関係するメモ以外がヒットし、ノイズが大きくなる。
これは、Googleで何か調べものをするときの方法論からの類推である。何かを調べようというとき、それに関係していそうな単語で検索する。すると、いくつかのサイトがヒットするので、それをいくつか開きその情報を探すという具合だ。
だが、ここで検索するのはアイデアであり、それがGoogleの場合と大きく異なっている。Googleでヒットするのは情報としては完成したものであり、知りたい情報が載っている可能性もある。しかしアイデアメモというのはそれ以前の段階であり、これをいくつか集めてそれで初めて答えが出る、という性質のものである。だから、Grepによって自分の求める情報が手に入る可能性は低い。
また、アイデア発生装置としても期待できない。これは京大カードがこの用途に使えなかったのと同じ理由による。

次にファイル名をキーにする方法について。この場合、ファイル検索でヒットするように、次のようにタグをつけることになる。

【タグ】ファイル名.txt

重要度をスターなどで表す場合も原理的にはこれと同じであり、例えばファイル名に特別な記号をつけたりする。このようにして共通の語がファイル名に入るようにし、その語でファイル名検索をすれば関連するファイルが一覧表示されることになる。

ファイル名☆☆☆.txt

このときの問題点の一つ目は、持続性を持つタグをつけることができない、ということである。何かを思いついてアイデアメモを書いたとしても、それを思いついた当初はそれがなにについてのアイデアか、というカテゴライズなどできていない場合が大半である。だからどうしても、おおざっぱな区分か、あるいはそのときにたまたま思いついたタグを付けることになる。
おおざっぱなタグというのはおおざっぱゆえに役に立たない。そのときどきの問題関心は移り変わる故に、同じカテゴリーであっても関係のないものが含まれることになるからである。またずっと持続するような区分というのを見いだすのが難しい。タグの数を制限するだとか、タグ一覧を目にとまりやすい場所に貼っておくだとかいろいろしたが、結局は機能しなかった。
そのときに思いついたタグというのは、次にそれに関係するアイデアを思いつきメモにしたとしても、以前のタグを思い出せずやはりそのときたまたま思いついた別のタグを付けてしまう、という理由で役に立たない。
また、タグを付けても重要度での区別をつけることもできないという問題もある。あるメモを編集してその精度をあげても、タグを利用して表示するときには他の雑多な適当なメモと並列して表示され埋もれてしまう。同じタグを持つファイルが増えれば増えるほどこれは顕著になる。結局、カードボックスで有益なカードが他のカードが増えることで死んだのと同じように、同じタグを持つファイルの中で死んでしまうことになる。

「メモデータ本体とは別に情報管理」だが、これは覚えらんない人が紹介していた方法(文具としてのコンピュータを考える(2)-メモ(情報カード) - 覚えらんない人のためのオンラインソフト備忘録)。カード型データベースソフトを使い、一つのデータに対し一つの蔵書カードを作成。検索その他はこの蔵書カードを利用して行う。気になって調べはしたが、適当なカード型データベースソフトを探しても見つからなかったという理由であきらめる。

そして破綻へ


結局、メモをデータベース化してPC特有の機能で操作する、という試みは破綻した。
結果、最近のメモのみを一覧表示と連動ビューで表示し、関係するメモをいくつか見比べて、という操作のみが残ることになった。これは、最近作成した以前のメモというのはあってもなくてもいい、そこにかけた労力が無駄な死蔵したものになることを意味する。カードで行っていたのと同じことが起きたわけだ。そして、最近のデータのみを扱うのであれば、入力の手間その他を考えれば、カードでやってたのと比べどちらが効率がいいかというと微妙な問題である。


野口のバッファー理論


フローを扱う


PCに特有の機能を使っても問題は解決しない。やはり死蔵し、膨大にアイデアメモをためたとしてもそれを有効に使う方法はない。
これを突破するきっかけになったのが、野口のバッファー理論だった。これは、野口悠紀雄『「超」整理法〈3〉』において出てくる概念である。

知的生産活動で扱うデータは、決まりきった仕方では処理できない、という特性を持っている。それは、最初はどのカテゴリーに入るかも不明で、重要度も分からない。同じデータといっても取り扱うべき対象は様々である。そしてそれを扱う方法にも先例もモデルも無い場合が多く、決まりきった仕方で処理するということができない。
このような性質を持つデータに対しては、先例もモデルもある、処理が確立されているような定型的な仕事でとられてきた仕方では処理ができない。今までとは異なる発想に基づく処理システムを用意し、そこで処理すべきである。このような考えをする。
まず、対象がフロー(流れ)であることを明確に意識する必要がある。必要とされるのは、膨大な量のフローを制御するダイナミック(動的)な方法である。一定量のストック(蓄積)を管理するスタティック(静的)な対処法ではない。
これは自明のことである。しかし、従来の収納システムは、「内容がほぼ変わらないストックのための管理」のためのものだ。「大量のものが流入し、ストックの内容が短期間のうちに入れ替わってしまう」という認識は、殆どないのである。(野口悠紀雄『「超」整理法〈3〉』P21)

ではどう処理すべきかというと、「とりあえずおいておく場所(バッファー)」を用意し、そこに分類せずにデータを入れる。ある程度の時間がたてば、そこに放り込まれたデータは自然に醸成して区分とかもわかってくるから、そのときになって初めて処理をすればいい。

マゼラン的な仕事を扱うには、マニュアル遵守的な仕事とは異なる発想にもとづいて、処理システムを構築する必要がある。
とくに重要なのは、「バッファー」(buffer)だ。これは、「緩衝器」、つまり二つのもの、あるいは二つのプロセスの中間にあって、衝撃を受け止めるための装置である。
まず、外から入ってきたものや新しく作ったものを、簡単な手続きによって(できれば、殆ど手間をかけずに)、システムの中に受け入れる必要がある。整然とした収納でなくともよい。しかし、書類が紛失したり迷子になったりすることはないようにする。つまり、「とりあえず受け入れる」のである。これが、「受け入れバッファー」だ。
そして、不要と思われるものを必要なものから区分し、所要の措置や加工などを行い、次の段階に送る。
この際、確立された処理法はないのだから、本当に正しい処理をしたかどうかは分からない。やり直す必要があるかもしれない。そのため、完全でなくともよいから、一応の措置をする。一〇〇%処理を目論んで何もしないのではなく、とにかく一歩進める。「ゼロか完璧か」でなく、八割の処理をするのだ。これは、単なる先送りとは違う。「もっとも重要と思われること」は、行っておくのである。
そして、「多分必要ないだろう」と思われるものを、日常の仕事のジャマにならないようなところに置く。つまり「とりあえず捨てておく」のである。これが、「廃棄バッファー」だ。(野口悠紀雄『「超」整理法〈3〉』p41)

バッファーによる解決


知的生産関係のデータを扱うときに問題になるのは、それが処理しきれなくなるほどたまり、古いデータがノイズとなって全体が機能しなくなることである。そこで、バッファーを作り、時間の経過で勝手に洗練されることを利用して、常に有用な情報が取得できる状態を保つのだ。

  1. 最初は区分せず、とりあえずおく場所を用意してなんでもそこに放り込んでいく
  2. 半自動的にそれが保てるシステムを構築する

この二点を実現すれば、不定型なデータの処理が可能になる。これまで対処できなかったのは、不適当なシステムを使って処理していたからなのである。
従来の整理法では、情報をストックとして扱っている。つまり、将来に向かって価値が減少することを重視していない。したがって、「いかに保存するか」に重点があり、「いかに捨てるか」は、副次的なこととしか考えられていない。
情報が比較的少ない時代には、こうした考えが妥当したかもしれない。しかし、現代のように情報が増えてくると、基本的な考えを転換する必要がある。つまり、情報とは生まれ消えるものであり、一定の寿命を持ったフロー量である、と捉える必要があるのだ。
(野口悠紀雄『「超」整理法』P8)

データベースからバッファーへ


我々が蓄積したアイデアをうまく利用できなかったのは、データベースの規模の問題でも、データベースをうまく運用する方法に通じていないからでもない。そもそもの、データベースを作るという発想から間違っていたのだ。
個々のものの重要性がはじめからわかっており、区別がすでになされているようなものであればデータベースを築くことは有効だろう。そしてそれは、規模を増していけばそれだけ有用なものになるだろう。web上にある情報をGoogleなりwikiなりの機能を追求すれば、データが増大しても破綻しないシステムを構築することは可能だろう。

だが、アイデアのように、日々陳腐化し、重要度の区別などつけようがなく、最初から区分のしようがないデータを大量にためることには意味がないのである。それをもとにしてデータベースを築いたとしても、それは個々バラバラのスピードで陳腐化していく。それはだんだんとカオスで使いものにならないものになり、このこと自体はデータベースから有用なデータを抜き取る機能を追求しても解消されない。それよりは、バッファが半自動的に洗練され、不要なものが削ぎ落とされ、常に自身にとって有益な情報がある状態を保ち続けることが重要なのである。

バッファ理論の特徴


つまり、バッファ理論の特徴は以下の点にある。
  1. アイデアメモをためる先は、データベースではなくバッファである。それは時間の経過とともに陳腐化するから、常に自分にとって有用なものに更新する必要がある
  2. これは時系列を利用することで半自動的に可能になる
発想としてはPoICのタスクフォースと似ている。このタスクフォースとバッファ理論をPC上で実現しよう、と考えたことがMoEの基礎になっている。

MoEの原型


データベースを作る必要はない。だからメモが不要であればそれは捨ててしまってもかまわない。自由に組み替え、原本を改変しても全くかまわない。それでもいいから、とにかくずっと、全体が有用であり続ける状態をつくれ。

この発想を元にして、MoEの原型はできあがった。
必要なのは以下のことである。

1.メモの受け入れバッファーをはじめから用意する。これは、分類だとか重要度だとかそういったことをいっさい気にせず、放り込める場所にする

→これは実際は、これまでカード法の時点から実施してきたことである。そこでは基本的に、分類をせずつっこんできた。梅棹の意図したところは、「何でもつっこまれている状態であればくるときにそれだけ有効になる」と少し意味合いが違っているが、これは受け入れバッファーとしての役割をすでに果たしている。
ただ、そこでしていた、「質の高いもののみメモとして含める」「タグを打つ」といった、それがカオスになることを防ぐためにとっていた方法はしなくてもいいことになる。この時点では、なにも考えずメモを作れることが第一であるのだ。

2.それが秩序を保った状態を維持する

→これは、「そこから関連するもののみを取り出す」という仕方で維持を図る。PCで言えば、それを別フォルダに移動することをすればいい。
関係するファイルを探し、一つの箇所にまとめる過程がそのまま秩序を保つことにつながる。また、この過程は一度にやる必要性もない。関連するファイルをある程度までまとめて移動したあとでも、それを中断して後日続きをするというのは可能である。これはカードを使った方法ではできないことである。

また、同時に廃棄バッファーをあらかじめ用意しておき、そこに不要なものはすべて移動するようにする。こうすることによって、それらは一旦は目の前から消えることになり、受け入れバッファーのノイズが減ることになる。また、たとえそこに捨てたとしても、がんばれば(Grepなりなんなりを利用して)元に戻すことも可能である。ただ、今のHDDの容量からすればテキストメモの容量など微々たるものであるから、実際にこのフォルダにあるファイルを削除する必要はないだろう。
「とりあえず捨てる」ためのバッファーは、つぎの二つの条件を満たしていなければならない。
(1)目の前からは消えていること。
(2)しかし、必要になれば取り戻すことのできること。(野口悠紀雄『「超」整理法〈3〉』p55)

時間軸という観点から


これが利用しているのは、「時間がたてば書き出したメモも醸成され意味がわかってくる」という原理である。

人間はそのときどきでいろいろな問題に取り組んでいる。それは突発的なものであったり、あるいはずっとかかえているものであったりするだろう。それについての思いつき、対処法、方針、総括、感想といったものが、そのときどきにたまたま経験することをきっかけにして、無秩序にひらめく。ただ、それがどのような問題に関してのものなのか、といった全体的な見通しについては保たないままランダムに生じる。そうして、そのときにたまたま思いついたことを元にして何かの行為をし、それがたまたま失敗するか成功するかして、またそれについて忘却し、また同じ思いつきをしてというように、同じところをくるくると回るのである。
記憶があてにならないという事実も、「発見の手帳」をつかっているうちに、うかびあがってきた一つの「発見」であった。わたしは、自分自身の発見や着想をも、すぐにわすれてしまうのである。その証拠に、わたしの「発見の手帳」をよみかえしてみると、まったくおなじ内容の「大発見」がしばしばあらわれてくる。まえに一ぺん「発見」したことをわすれてしまって、またおなじことを「発見」してしまうのだ。
しかし、とにかくもそれが記録にとどめてあったことによって、無意味な二重発見をチェックすることもできるのである。もしこれが、なんにもかいてなかったら、わたしは毎日大発見をしたような気になっても、じっさいのわたしの知的活動の内容は、何年もまえとおなじところで足ぶみしているのかもしれないのだ。かいておきさえすれば、まえの発見が、つぎの発見のためのふみ石になって、しだいに巨大な構築物にまでつみあげることも可能なはずである。(梅棹忠夫『知的生産の技術』P27)

そこで、それをメモとして蓄積する。それ自体は、はじめは単体としてみればたいして価値のないものだろう。そうすれば、それが蓄積しそれを眺めたならば、それがどのような問題意識からきたものなのか、そしてそれについてどのような方針を思いついたのか、それは適当なものなのか、ということの判断というのがだんだんとついてくる。そこで、それを元にしてその関係するものを取り出し、整理をつけて、実際の行動に反映させ、思いつきでやっていたよりもより適切な行為をする。我々は現実において様々な問題に出会い、そのときどきでなんらかの対処をする。そのような実際の流れとは別に、それらを一旦、メモ群という別の場所にとりあえずおいておき、寝かせて、それを再び現実に反映させる。リアルの流れとはまた別の時間の流れというのを、別の場所に平行して作り出すのである。

何か思いついたことがあれば、とりあえずそれをメモにして受け入れバッファーに放り込む。そうしてあとは時間がたつのを待ち、適当に時間が過ぎて受け入れバッファーを見て、なんかこれ関係してそうだなというのがあればそれをまとめて操作をする。時間がたちすぎてもはや問題そのものが消滅し、アイデアの価値がなくなっていると判断したものについては、それを廃棄バッファーに捨てればいいだろう。受け入れバッファーのなかでもより古いファイルがそれに該当する可能性が高いので、見分けるのもそれほどは難しくないはずだ。

PCにバッファ理論を応用


メモをためるというだけなら、PCでやろうとカードでやろうと大差はない。しかし、それを編集し、移動し、活用するとった自由な操作をメモ単位で行おうとすれば、アナログなカードよりもPCのデータのほうがより適している。PCの利点はGrepだとかにあるのではない。メモという単位でデータを扱うのがより柔軟になる、ということにあるのである。

実際のシステムは次のようになる。

フォルダ構造とバッファ


まず受け入れバッファー用のフォルダを作る。テキストメモは、とりあえずここに保存する。
ついで、廃棄バッファー用のフォルダを用意する。これは、不要になったファイルを適当に移動するためのフォルダである。

また、カテゴリーフォルダを用意し、受け入れバッファーからメモを取り出して操作する際にはこのサブフォルダを使って行うようにする。このフォルダ内で編集その他の操作をし、不要になったと判断したメモは廃棄フォルダに移動する。

こうして
  1. 受け入れバッファー用のフォルダ
  2. カテゴリーフォルダ
  3. 廃棄バッファー用のフォルダ
の三つを作ればいいということになる。

ファイル移動による秩序の維持


再生産をする際には、受け入れバッファーから適宜、一覧ビューとタイトル表示を利用して、関連するファイルをカテゴリーフォルダに移動する。そして移動先で、編集なりなんなりの操作を行う。
これは同時に、受け入れバッファー内の秩序を保つ過程でもある。

以上の操作は、ファイラを用いてするべき範疇に入る。こうして、「ファイラを起点にして運用する」というように、PCを用いたメモの方法論の性質が定まることになる。

*1:このときは選択肢として以下のようなソフトがあった
  • howm
  • アウトラインプロセッサ
  • ChangeLog
  • 紙copi

*2:このときに利用していたソフト
  • Getia
  • xyzzyのGrep
  • VxEditorのGrep
  • DesktopHE
  • fenrir

2013年10月8日火曜日

MoEに至るプロセス-京大カードからPoICまで


まえおき


つかさです。
僕が京大カードに出会ってから、どういう経緯でMoEに至ったかを追ってみたいと思う。おおざっぱには

  • 京大カード→PoIC→(カードからPCデータへの移行)→「超」整理法→MoE

という過程で進んでいるのだが、試行錯誤や行ったり来たりとか同時並行だとかがあるのでもちろんスムーズに来たわけではない。
この種の技術にはある程度普遍性があると思うので、誰かの参考になればいいかなと思ってます。

京大カード


僕が知的生産術に手を出したのは、梅棹忠夫『知的生産の技術』を読んだのがきっかけだった。
「京大カード」あるいは「情報カード」と呼ばれるB6のカードを手に入れ、ここに思いついたことを書き込んでいく。


書式はこのように。日付、タイトル、本文から構成。また、一つのカードには一項目のことのみを記述するようにする。裏面は使わない。書けたら、そのカードをカードボックスに入れる。

カードが相当の枚数たまったら、それを「くる」ことによって発想を促す。自分が書いた個々のカードがランダムに現れる状況を作ることで、知的生産を実行するのだ。

たしかに個々のカードは、経験や知識の記録である。しかし、それをカードにしたのは、知識を分類して貯蔵するのが目的なのではない。何万枚ものカードも、死蔵していたのではなんにもならない。それは活用しなければならないのだ。カードを活用するとはどういうことか。それは、カードを操作して、知的生産の作業をおこなうこということである。
操作できるというところが、カードの特徴なのである。蓄積と貯蔵だけなら、ノートで十分だ。ノートにかかれた知識は、しばしば死蔵の状態におちいりやすいので、カードにしようというのではなかったか。カードの操作のなかで、いちばん重要なことは、くみかえ操作である。知識と知識とを、いろいろにくみかえてみる。あるいはならべかえてみる。そうするとしばしば、一見なんの関係もないようにみえるカードとカードのあいだに、おもいもかけぬ関連が存在することに気がつくのである。そのときには、すぐにその発見をもカード化しよう。そのうちにまた、おなじ材料からでも、くみかえによって、さらにあたらしい発見がもたらされる。これは、知識の単なる集積作業ではない。それは一種の知的創造作業なのである。カードは、蓄積の装置というよりはむしろ、創造の装置なのだ。(梅棹忠夫『知的生産の技術』P57)


このシステムは、カードが相当枚数たまることを前提としている。そしてカードがたまればそれだけ、有用性は高まるという思想を持っている。
くりかえし強調するが、カードは分類することが重要なのではない。くりかえしくることがたいせつなのだ。いくつかをとりだして、いろいろなくみあわせをつくる。それをくりかえせば、何万枚のカードでも、死蔵されることはない。(梅棹忠夫『知的生産の技術』P59)

ノートでも同じだが、カードはとくに、長年つづけてやらねば効果はすくない。いわば蓄積効果の問題なのだから、一時的におもいついてやってみても、なんのためにこんなことをするのか、わからぬうちにいやになる。(梅棹忠夫『知的生産の技術』P63)


京大カードの画期的な点


「アイデアは個々バラバラになっているほうが使いやすいのではないか」というアイデアが、京大カードの基礎にある。そしてこの発想は、一般に用いられている文房具とは潮流を異にするものである。

この手の技術について疎い人の場合、論文を書くなり何なりで知的生産をしたいというとき何をするかというと、ノートを利用するわけだ。ノートに思いつきを書き、それを元にして論文を作ろうとするだろう。だが、そのような試みはたいてい失敗する。ノートの場合、書き込んだアイデアを組み替えることができない。関係するもの同士を並列したいのなら、新しくノートを購入してそこに書き直すくらいしかない。が、これはそれに非常に手間がかかるという理由で、たいていは破綻する。
そこで、あらかじめアイデアを最初から個々バラバラで組み替え可能なようにしているのが、このカードシステムなのである。アイデアを個別に分離し、それを蓄積して利用する。このための具体的方法論を提出したという点で非常に画期的である。

また、これは論文を書くというのは所詮技術の問題にすぎない、それがうまくいかないのはそれがつたなかったからだ、というように言い切ったという点でも意義がある。この転換がなければ、論文が書けないのは自分の頭が悪いからであり、精神的に未だ未熟だからと総括して無意味な方法を続けることになっただろう。
技術というものは、原則として没個性的である。だれでもが、順序をふんで練習してゆけば、かならず一定の水準に到達できる、という性質をもっている。それに対して、研究だとか勉強とかの精神活動は、しばしばもっとも個性的・個人的ないとなみであって、普遍性がなく、公開不可能なものである、というかんがえかたがあるのである。それは、個性的な個人の精神の、奥ぶかい秘密の聖域でいとなまれる作業であって、他人にみせるべきものではない… …。
しかし、いろいろとしらべてみると、みんなひじょうに個性的とおもっているけれど、精神の奥の院でおこなわれている儀式は、あんがいおなじようなものがおおいのである。おなじようなくふうをして、おなじような失敗をしている。それなら、おもいきって、そういう話題を公開の場にひっぱりだして、おたがいに情報を交換するようにすれば、進歩もいちじるしいであろう。そういうようにしようではないか、というのが、このような本をかくことの目的なのである。(梅棹忠夫『知的生産の技術』P8)


京大カードの限界


このシステムを用いていると、途中で突き当たる壁がある。それは、「死蔵」という問題である。この問題は、カードを大量にためてそれを利用するシステムである限り、ずっと付きまとってくるものである。

このシステムは、取り扱うカードが少ないうちは問題なく機能する。たとえばA4数枚のレジュメだとか、本を読んでそれをまとめるくらいだったらいい。レジュメだったら、何か思いついたことなり調べたことなりを片っ端からカードに書いていき、あとでそれを並び変えて作成する。本を読んでそこで気づいたこと、思いついたことをカードに何枚か書きとめる。そうして読み終わったら、そのカードを並び替え、それを元に文章を書いていけばいい。漠然と本を読むなり思いつきなりだけでいきなり文章を書き始めるよりは、格段に質のいいものが短時間でできるはずだ。

必要なアイデアメモが取り出せない


だが、これは扱う対象が増え、複数の事柄について書いたカードが蓄積し、カードの枚数が増えていくと機能しなくなる。例えば何かのテーマについて書く必要があり、そのために以前に書いたメモを参考にしようと思って、カードをくるとしよう。すると出てくるのは、個々バラバラの事態について思いついたアイデアだ。そのテーマに関係の無いメモはノイズとなり、かつ過去へと遡れば遡るほど、賞味期限が切れて意味をなさなくなったアイデアのかけらに出会うことになる。

アイデアは、それを思いついた当初は意味を持っていたとしても、時間の経過によって劣化し意味のわからないものになる。結果、最近のカードから使えそうなアイデアをタイトルなどから関係してそうなもののみ抜き出し、それを元に考察をするだろう。これは、それらを一つのデータベースとしてためていることに意味がないということを示す。

発想支援装置にもならない


アイデアの発生装置としても役には立たない。たとえば僕が過去に使っていたカードボックスには、FPSでの特定マップの攻略アイデアと気になったレシピと何かの思いつきの断片と何かの記録とというようなものが混じっている。これらを見比べて何か意義のあることが思いつくことなどできるわけがない。

結局は、最近のカードをめくって関係するもののみを取り出してそれを持ち歩き、それを元にして発想をするということをしていた。これは結局、それ以前のカードが死蔵し、それの作成のためにかけた労力が無になったのと同じことである。

京大カードの次へ


複数の情報を並列することで発想する。これは、その対象が少なくとも相当練り上げられ、情報として洗練されているものでないと意味がない。アイデア段階のものがそのまま打ち捨てられた状態のものが並んでいたとしても、それはノイズにしかならないのである。

新しい刺激が欲しいのであれば、誰かに話を聞きにいくなり町に出て新しい経験をするなり誰かの本を読むなりすればいい。それを自分のアイデアで、データベースとしていちいち手間をかけて作成する意味はない。カードがたまればたまるだけ、それが有効に機能するという根幹にある思想自体が誤っているのではないかと思うのだ。アイデアを出す。それを個別に切り離せる形で保存する。ここまではうまくいく。アイデアはバラバラになっているほうが使いやすいというのは確かにそうだ。ただ、それをどのように運用するかという問題が、それを実際に大量にためたあとに現れるのである。

これへの対策としてPoICのタスクフォースがある。

PoICのタスクフォース


PoICというのは、京大カードを用いた方法論を体系的に整備したものである。
wiki形式になっており、梅棹以降の理論や、考案者の実際の試行錯誤に基づく修正などが盛り込まれており、非常にレベルが高い。梅棹は方法論としてはそれほど詳しくは書いてないので、実際にカードを使ってみたいなら、梅棹でだいたい思想をつかんで、このサイトをみてやり方を学ぶ、というようにするといいとおもう。

この過程の一つに、タスクフォースがある。それは、ためたカードを元に再生産をするプロセスである。

PoIC - 再生産する

広い場所を作り、そこにカードを並べていく。もし似たようなことについて扱っているカードがあれば、それは重ねる。このようにして、似たことについて扱っているカードのグループを作る。そうしてできたまとまりに、そのまとまりの内容を書いたふせんを貼る。

このようにしてできたまとまりを元にして文章を作る。その作業の途中で新しいことを思いつけば、新しくカードを書く。その作業で内容を反映されたカードのグループは、お役御免として、カードボックスとは別の場所にしまう。こうして、カードボックスの中身は、以前よりも精選されたアイデアになる。

タスクフォースの意義


その特徴は以下の二点である。

1.再生産という過程を組み込んだこと

京大カードの限界点を、「アイデアから再生産する過程」を意識的に作り出さなかったことに求める。そしてその方法論を、タスクフォースという形で具体的に提示しているのだ。
ちなみに梅棹だと、この過程はない。アイデアはひたすらたまっていく限りで、その内容をどうこうしようという発想はできないのである。

2.カードボックスの秩序を一定に保つ方法論を提示したこと

カードの死蔵が起こるのは、時間が経過しカードが増えることによってカードボックスがカオスになるからだ。そこで、カードをまとめ、束ね、廃棄し、という過程を組み込むことで、カードボックスの秩序を一定にしようとしている。*1


時系列でカードを蓄積していくと、自然の法則に従って、システムの中のエントロピー(情報の乱雑さ)は一方的に増えていきます。分類しない時系列で は、なおさらです。このままでは、PoIC は破綻しそうにも思えます。私自身、カードが増えるにしたがって、このまま行ったらどうなるのだろうか、と心配になったことがありました。
この自然の法則に逆らってエントロピーを減らそうとする場合、人間の「努力」が必要になります。図書館や博物館では、「つねに分類する努力」によってこれを実現しています。そのために、これらの公共施設では高いコスト(人件費、時間)を払っています。しかし、前述のように、PoIC では積極的に(?)検索・分類しません。では、どのようにしてシステムの破綻を防ぐのでしょうか。
答えは簡単で、やはり検索・分類するのです。従来の方法と違うのは、これが一番最後に来ることです。PoIC において、カードを書くのは、個人の知識のデータベースを構築することです。しかし、これはまだ準備段階です。PoIC の本当の目標は、このシステムを使って、新しい知恵・知識・成果を再生産することです。そうして初めて "Get things Done!" となります。(PoIC - 時系列スタック法)

タスクフォースの限界


僕はカード法で挫折したあと、この過程を組み込んだのだが、それでもやはり、死蔵という問題は解消されなかった。それは、タスクフォースの過程に手間がかかる、という理由による。

まず、広い場所を用意しなければならない。気楽に机の上程度の大きさでやるということはできない(ただ使うカードの大きさにも依拠するかもしれない。僕はB6を使っていた)。これを実現するには畳数枚程度の広さは必要になる。
また、この作業は一度に行わなければならない。そうそう何度も、カードをすべて調べて並び替えるということはできないし、どのカードとどのカードが内容がかぶってるかを判別するというのは、時間をあければ忘れてしまう。
ふせんを買ったりとか場所を作ったりとかいろいろ用意はしたが、結局は何回かやってやめてしまった。月に一度は日を決めてやろうだとか、まとまりを途中まで作ったままそのままの状態でまとめ、一時中断もできるようにするだとかいろいろ試みたが、結局やらなかった。
「カードボックス内の秩序を一定に保つ必要がある」この発想自体は正しいのかもしれない。だが、それを実現する方法の煩雑さによって、実際に機能するまでに至らないのである。実行するための負担が大きすぎるのだ。

そうしてここでも失敗し、やがてカードを使う方法をすて、PCでの方法を模索することになるのである。

…続く


*1:梅棹だと、カードは基本的にすべて残すことになる。それの対処として対応するのは、「カードを書くときには論文を書くようにする」、つまりアイデアとして半端なものをそもそも流入させないという方法である。
カードは、他人がよんでもわかるように、しっかりと、完全な文章でかくのである。「発見の手帳」についてのべたときに、豆論文を執筆するのだといったが、その原則はカードについてもまったく同じである。カードは、メモではない。(梅棹忠夫『知的生産の技術』P55)